ビカクシダ(コウモリラン)の板付けは、100円ショップの材料でも十分にできます。 土台には無塗装の木製プレートかワイヤーネット、固定にはテグス、吊るすのはヒートンとS字フック。これだけで、小〜中株の板付けが始められます。ただし、塗装・防腐加工された木材と、被覆のない金属ワイヤーを株に直接巻くことだけは避けてください。 前者は薬剤が根を傷め、後者は水苔の中で錆びて食い込みます。
ダイソーやセリアなどの100円ショップには、園芸・DIY・手芸・釣り用品のコーナーに板付けに使えるものが散らばっています。ただし取り扱いは店舗や時期によって大きく異なります。 ここで紹介するのは「100均で見つけやすい種類のもの」で、特定の商品があることを保証するものではありません。
基本の板付けの手順と、ヘゴ板・杉板・コルクなど本格的な素材の選び方はビカクシダの板付けのやり方にまとめています。この記事では、それを100均の材料で行う場合のポイントに絞って解説します。
100均で揃いやすい材料と選び方
| 材料 | 探すコーナー | 使い道 | 選び方のポイント |
|---|---|---|---|
| 木製プレート・すのこ | DIY・インテリア | 土台の板 | 無塗装のもの。ニス・塗装・防腐・防カビの表示があるものは避ける |
| ワイヤーネット | 収納・DIY | 板の代わりの土台 | コーティングに傷がないもの。小〜中株向き |
| テグス | 手芸・釣り | 株と水苔の固定 | 8〜10号前後の透明なもの |
| ヒートン(吊り金具) | DIY | 板の上端に付けて吊るす | ステンレス表示があれば優先 |
| S字フック | 収納 | 壁・突っ張り棒から吊るす | 株の重さに耐えるもの |
| 結束バンド | DIY・園芸 | ワイヤーネットの連結や吊り下げ | 株を締める用途には使わない |
| 麻ひも | 手芸・園芸 | 仮止め | 数か月で朽ちるので、本固定はテグスで |
| 小さなビス・木ネジ | DIY | テグスを掛ける支点 | 錆びにくい素材のもの |
| 霧吹き | 園芸・掃除 | 板付け後の湿度補給 | 細かいミストが出るもの |
| 水苔 | 園芸(一部店舗のみ) | 根を包む | 置いていない店が多い。少量パックが中心 |
水苔だけは100均にこだわらないのがおすすめです。 扱いのない店舗が多く、あっても少量パックが中心です。中株以上なら必要な量が多くなるので、園芸店やホームセンターで買ったほうが結果的に手間も費用もかかりません。
100均で避けたいもの
安く揃えられるぶん、選び方を間違えると株を傷めます。次のものは避けてください。
- 塗装・ニス仕上げ・防腐/防カビ加工の木材。 水苔を通して薬剤や塗料の成分が根に触れ続けます。見た目がきれいなインテリア用の木製プレートほど表面処理されていることが多いので、パッケージの表示を確認しましょう。
- コルクボード(掲示板用)。 細かいコルクを接着剤で固めた圧縮コルクで、水に浸け続けると崩れたり反ったりします。ビカクシダに使われるのは樹皮そのままのコルク板で、100均のコルクボードとは別物です。
- 合板・MDF。 接着剤で貼り合わせた板は、濡れと乾燥を繰り返すと層がはがれ、ふやけて崩れます。
- 被覆のない金属ワイヤー・針金を株に直接巻く。 水苔の中で錆び、成長して太くなる貯水葉に食い込みます。固定はテグスで行い、金属は板の上端の吊り金具など水苔に埋もれない場所だけに使います。
- 結束バンドで株を締める。 細く硬いバンドは貯水葉や根茎に食い込みます。ワイヤーネット同士の連結や吊り下げ用と割り切ってください。
100均の木製プレートは樹種や厚みが分からないものが多く、ヘゴ板や杉板に比べると早く傷む前提で考えるのが無難です。株が大きくなったら付け替える「最初の一枚」として使いましょう。
100均の材料で板付けする手順
作業の適期は、株がよく根を張る4〜6月です。遅くとも9月までに終え、冬の板付けは避けてください。
- 水苔を戻す。 乾燥水苔をバケツの水に30分ほど浸け、軽く絞ります。ぽたぽた垂れない程度が目安です。
- 板を準備する。 無塗装の木製プレートの上端にヒートンをねじ込みます。板の裏面(壁側)だけ蜜蝋などで処理すると、壁側からの吸湿が遅れて長持ちします。表面は処理しないでください。
- テグスを掛ける支点を作る。 株を置く位置を囲むように、小さなビスを4〜6本、板に浅く打ちます。ここにテグスを掛けて巻いていきます。
- 水苔の土台を作る。 板の中央に、戻した水苔を厚さ3〜4cmほどのこんもりした山に盛ります。
- 株を置く。 古い用土や水苔はやさしく落とし、貯水葉の裏の根を水苔の山に密着させます。胞子葉が上向き、やや外向きになるように置き、根の周りにも水苔を足して包みます。
- テグスで固定する。 テグスの端をビスに結び、根鉢と水苔の上を交差させながらビスを順に経由して巻きます。水苔がわずかに沈む程度の強さで、若株なら6〜8周が目安です。成長点(株の中心で新しい葉が出てくるところ)の上は通さないでください。
- 水に浸ける。 板ごと水に20分ほど沈め、水苔に十分吸わせてから水を切り、吊るします。
固定後、指で揺すって株がぐらつくなら巻きが足りません。数か月で新しい貯水葉が板に張り付けば、テグスは役目を終えます。
ワイヤーネットを使う場合
木製プレートの代わりにワイヤーネットを土台にする方法も、100均で始めやすいやり方として人気です。
- 網目に直接テグスを通せるので、ビスを打つ必要がありません
- 根が網に絡んで活着しやすく、通気性も良好です
- 結束バンドで2枚をつなげれば、複数の株を並べた壁面も作れます
注意点は2つあります。1つは乾きの早さです。板と違って水を蓄えないので、同じ環境なら水苔は板付けより早く乾きます。水やりの頻度は乾き具合を見て短めに調整してください。もう1つは錆です。ワイヤーネットは樹脂でコーティングされた金属で、傷や切り口から錆びることがあります。水苔が触れる部分に錆が出てきたら、株が小さいうちに付け替えましょう。
板付けしたあとの管理
板付け後の3〜4週間は、株が新しい水苔に根を張り直している期間です。
- 普段より少し光を弱めた明るい日陰に置く
- 水やりは水苔が乾いてから。乾きを確認せずに毎日濡らさない
- 肥料は2〜4週間与えない(ビカクシダの肥料)
- 霧吹きは湿度の補助として。水やりの代わりにはならない
新しい胞子葉の先が動き出したり、貯水葉が板に向かって広がり始めたら、通常の管理に戻して構いません。板付けで子株を外して増やす場合の手順はビカクシダの増やし方を参照してください。
まとめ
100均の材料でビカクシダの板付けをするなら、無塗装の木製プレートかワイヤーネット、テグス、ヒートンが基本セットです。塗装・防腐加工の木材、コルクボード、合板、株に直接巻く金属ワイヤーは避け、水苔は園芸店で買うと安心です。100均の土台は消耗品と割り切り、株が育ったら長持ちする板へ付け替えましょう。
